Begin Again
2020.05.22
とても久しぶりの納品です。
3年ぶりに大阪のdesign&art ranbu さんにこれらを発送させていただきました。
布のブックカバー9枚と、蝋引き紙のブックカバー6点です。
“ Begin Again ”
今回、布のブックカバー全てにこの言葉と、小さな星を1つ縫いました。
わたしの好きな映画のタイトルで、邦題は『はじまりのうた』。
どんなこともにも終わりはなく、すべてが始まり― そんな気持ちを込めて、このブックカバーをそう名付けることにしました。
思い返すと、20年近く前にわたしが布物を販売するようになったのもブックカバーが始まりでした。
今回使用した布たちは、わたしが布物を作らなくなってから長らく箱の中で眠っていたものです。
表側は様々な色柄のコットンやリネン生地、内側はブルー系の生地でまとめたのですが、そういえばブルーって、空や海、地球の色なんですよね。
蝋引き紙のブックカバーはうっすら透けているので、重ねても楽しいように、全く違う3種類のデザイン+無地の4枚セットを3種類作りました。
紙は古紙100%の再生紙を使用しています(なので少し黄味がかっていて、ちょこちょこ何かが混じっています)。
その紙を蝋引きすることによって、耐水性や強度が増すこと以上に、シワや折れなどができても使い込むほどに味が出てくるので、永く愛用していただけたらうれしいなぁ。
革のように、柔らかく手に馴染んていく感覚を楽しんで頂けると思います。
それともう1つ。
自分なりのエコ活動のひとつとして、包装にプラスチック素材のOPP袋は使用せず、パラフィン紙の袋を作りました。
ブックカバーを折らずに入れられて、なるべく小さく…と考えたのがこの形なのですが、大きな菓子袋のようでなかなか気に入っているんです。
ウィルスが付着してもプラスチックに比べてその残存期間が短いということも、紙袋にした理由のひとつです。
このブックカバーはデザイン制作を楽しみながら継続して作っていけるものだなと感じているので、これからもいろいろ作りたいと思います。
わたしたちの生活に『不要不急』という言葉が突如として現れてからというもの、自分たち・そして自分たちの職に対しての存在意義に疑問を持った方々も多いと思います。
でも、この自粛状況になったころ、歴史上においてもこういった窮地の中で特に芸術に関しては発展してきたんじゃないかとわたしはふと思いました。
人間の生活には、芸(そして術)があり、衰退していくものこそあれど、そのひとつひとつの末端においても全てが存在してこそ成り立っているのだということ。
そう考えたら社会で対して影響力もないわたしでさえ、例えば、自分のマスクを作ったり素敵なお店の布マスクを買ったりしてマスクの消費を減らすとか、病気にならないように気を付けて医療従事者の方々の負担を増やさないとか、小さなことだけれどできるんですよね。
そこにプラスして、アート・雑貨という娯楽に関しては、わたしもずっと関わってきたことであったし、そうやって考える時間がある中、ふと立ち返ったのが過去の制作活動であり、再開するに至りました。
制作中はテーブルというテーブルが全て作業台になるので、食事は立ち食いか、床か。
それもそれでなんだか新鮮で心地いいものだなぁと、家の中でもいろいろ順応しながらの生活です。
何ごとも楽しむ。
悩んでいるときでさえ、これが明ければきっと一皮むけた自分がいるはずだと思って楽しみながら悩む。
マイナスに感じることでさえ逆手に取ってできることがきっとあるはずだと、そう思いながら手を動かしています。
Instagramのストーリーズも、誰が興味あるねん!っと突っ込まれそうなほど日々UPしているのですが、皆さまご存知でしょうか?
作り手として、何かを作ったり気分を上げることを日々更新することで、「あ~この人またやってるよ~」から、「なんかちょっとホッとする」くらいになってくれたらいいかなと。
24時間で消えちゃうのがわかっているからこそ、なんですけどね。
みんなの笑顔が、1年後も変わらずありますように—